加齢黄斑変性症
加齢黄斑変性症 (Age-related Macular Degeneration:AMD)
老化に伴い、物を見るために大切な網膜の中心部分「黄斑部」が徐々に悪くなります。
このため物を見ているときに真ん中がゆがんだり、暗く見えたり、さらに病気が進行すると欠けて見えたりします。
これが加齢性黄斑変性症です。
欧米では中途失明原因の第1位を占め、日本でも欧米並みに増加しています。
黄斑変性には2タイプあり、黄斑に地図状の萎縮病巣ができ、徐々に組織が痛み長い時間をかけて視力が低下していく「萎縮型(いしゅくがた)」と、
網膜の下から新しい毛細血管(新生血管)が生えてきて網膜に損傷を与える「滲出型(しんしゅつがた)」とがあります。
現在、「萎縮型」に対する有効な治療方法は見つかっておりません。
症状
最初は片方の眼に発症する事が多く、初期段階ではもう片方の眼で見えない部分を補ってしまうため病気に気付きにくいので、 片眼ずつ検査で確かめます。
- 物がゆがんでみえる
- 左右で物の大きさが違って見える
- 見ようとする中心部分が見えにくい
- 部分的に見づらい箇所がある
などの症状が出現します。

治療方法
●光線力学療法(Photo Dynamic Therapy : PDT)
特定の光に反応する薬剤を静脈に注射し、その薬剤が最も新生血管に集積する時にレーザーを照射することによって新生血管を退縮させます。
この治療をして視力を維持できるのが約6割、改善するものが約2〜3割、約2〜3割の方はそれでも悪化します。
治療後は直射日光に当たらないなど、光からの保護が必要です。
治療後は3ヶ月ごとに検査をして再治療が必要かどうかを判定します。

※当院ではこの治療法は行っておりません。
●抗血管新生薬療法
体内には新生血管の成長を活発化させる血管内皮増殖因子という物質があります。
抗血管新生薬療法は、この血管内皮増殖因子の働きを抑える薬剤を眼内に注射し新生血管の増殖や成長を抑制する治療法です。
この治療は滲出型加齢黄斑変性症に対する治療として有効です。

当院ではルセンティスという薬剤を使った薬剤注射の治療を行っております。
月に1回薬剤を白眼の部分から眼の中心の硝子体という場所に向けて注射します。
(点眼麻酔をしますので痛みはほとんどありません。)これを3ヵ月間繰り返します。
その後、視力検査、眼底検査、光干渉断層撮影※1などの検査を行い、新生血管が残っている場合には先生の判断により再治療が必要となります。
滲出型加齢黄斑変性に対するルセンティス硝子体注射治療の流れ
※費用は保険を適用して3割負担の方で1回の注射につき6万円前後
1割負担の方で1回の注射につき2万円前後になります。
注意事項・副作用について
この抗血管新生薬療法は現在の視力を維持し、新生血管増殖による視力の低下を食い止めることが治療目的のため、
この治療によって視力の改善を期待するものではありません。
また、副作用として薬剤を眼に注射する時やその後に、非常にまれですが、
細菌などが眼に入り強い炎症(眼内炎)を起こす場合がありますので、注射後は担当医の指示に十分に従うようにしてください。
全身性の副作用として脳梗塞が報告されていますので、以前に脳梗塞または一過性虚血発作を疾患としてお持ちの方は、担当医にお伝えください。
この他にも、いつもとは異なる事に気づかれましたら直ちに担当医にご連絡ください。
※1 光干渉断層撮影(OCT)
OCTとは赤外線エコーを使用して、網膜黄斑部や視神経乳頭部の断層像を画像化する装置です。

正常な網膜
網膜(カメラのフィルムに相当する)の中央部を黄斑部(矢印)といい、約100万個の錐体細胞が密集しており、字を読んだり物を見るときに重要な部位です。 網膜の厚さは約250μで、黄斑部の中心部分は陥没(中心窩といいます)し、薄くなっているのが正常です。

黄斑円孔
黄斑部に直径約0.5oの円孔があります(矢印)。OCTでは網膜の連続性が失われているのが分かります。

黄斑浮腫
黄斑部に病変が及ぶと視力が低下します。 この画像では網膜が腫れて厚くなり、黄斑浮腫という状態になっていることが分かります。
OCT検査は、専用の台にあごを乗せて撮影します。機械が直接眼に触れる事もなく数分で終了する為、眼への負担が少ない検査です。



